『自分の小さな「箱」から脱出する方法』
人には「心が開いている」時と、「心が閉じている」時があります。
あなたは「今自分は心を開いている」とか「今自分は心を閉じているな」と客観的に自分を見つめ、自分の心の状態に気づきながら生活しているだろうか。
読んだ感想としては、周囲の人となかなか上手くいかない人におすすめの本です。
「うまくいかないその原因は、実は自分にあるよ」と教えてくれます。
人の心理を箱で表現し、どのようにしたらより良くなるのか。この中で私自身が参考になった事について三つ上げていきます。
箱の中に入っていませんか?
話す態度、言葉の使い方、声のトーン、顔の表情などから、人は自分がどのように扱われているのかをすぐに見分けられます。
この本が指し示す対人関係のもつれの根本的な部分は、以下です。
人はどのようにして人間関係がこじれていくのか、その過程を
- 物事が起こる
- 自分を正当化し、相手を責める
- 相手からすると自分がどのように扱われているかわかる
- 双方が双方を責め合う
として、どんどんこじれていく様子が描かれています。
この一番の問題が自己正当であり、これをどのように改善するかについて記載されています。
アドラー心理学と共通する部分ですが、自己正当する事により、相手を悪くいう理由を作るなど自分を正当化するために、相手を攻撃します。
これを本書では「箱」の中に閉じ込めれた状態といいます。
そもそも「箱」とは何なのか
本書では「箱」のことを自己欺瞞だと表しており、
「箱」に入る過程は自己正当化のことをさします。
例えば、子供が夜泣きをして目が覚めてしまった時に「自分が起き上がって世話をしよう、そうすれば妻は寝ていられるのだから」と思っている時は「箱」の外にいる状態です。
しかし、そう思ったのに「疲れているから」などの理由で子供をあやしに行かず、寝たふりを始めたところから人は「箱」の中に入り始めます。
こうなると、「どうしてさっさと起きて子供をあやさないんだ」「どうせ昼だってのんびり過ごしているくせになど妻への攻撃へと意識が向き、
妻は怠け者で思いやりがないひどい人間だから、自分は手を貸す必要はないと自己正当化に走ります。
こうした自己正当化の結果、何かしらのきっかけでその考えが出ると、
相手も自分の箱の中に入ってどんどん抵抗し、
お互いがお互いを非難し合うような状態になってしまいます。
このような状態をどう抜け出したらいいのでしょうか?
「箱」の外に出るためには?
・「箱」の中から攻撃してしまった人たちに心から謝る
・自己正当化の前の本当に正しいと思っていることを行う
・自分が「箱」の中にいるのではないかと疑う
・相手の話をよく聞く
ここで最も大切なのが、正直であることです。
相手を人としてありのままの存在で見ることです。
自分とは、価値観や現実が異なっている存在と認識することです。
相手は、あなたと同じ考えをしているわけではありません。
自分の現実=相手の現実は間違いであると認識するようにしましょう。
とはいえ私は誰と、どんな関係を築きたいかに応じて「箱」の外に出るか「箱」の中に閉じ籠るか切り分ければ良いと思います。
実際に「箱」の外の行動を取り、相手も「箱」の外に出てきてくれる人間であれば、その人とは互いに「箱」の外で良好な関係を築いていけばお互いにとってハッピーになるでしょう。
ですが、こちらが「箱」の外に出て行動していることを認識しても利用されるだけということも少なくありません。こうした人間に対しては自分も「箱」の中に入り込んで、なるべく関係しないよう切り捨てるための行動を取った方が良いと思います。
※感想
アドラー心理学とほとんど同じ事を言っているな、と感じました。
この本には、自己正当という言葉が多く出てくるのですが、
まさにこれは「可哀想な私」に共通する事ですし、
その解決方法に関しても、アドラー心理学と同じです。
アドラーの心理学に触れる!「嫌われる勇気」を手に入れるには
自分の欲求ばかりを重んじた生き方は、結果的に自己否定につながります。
そんな価値観を提起してくれたのが「アドラー心理学」です。
アドラーは周りに起こる物事の解釈を少し変えるだけで、全ては良い方向に変わると言います。つまり、今の自分や自分の生き方を変えたいなら、物事の見方を変えることです。
ここでは特にアドラー心理学の中でも大事だと考えた5大原則について紹介します。
1.全ての悩みは人間関係が起因している
アドラーは「個人の中だけで完結する悩みは存在しない」と言います。その証拠に「孤独の悩み」すら、他者がいるからこそ発生する悩みです。
つまり、あなたが抱えている全ての悩みは「人間関係」が起因しているということ。そのため、悩まない自分に生まれ変わるためには「他者への解釈を変えること」が解決策だと言います。
物事の見方が変われば、人の思考や行動は変わります。
2.劣等感やコンプレックスは幻想にすぎない
劣等感は、自己実現にブレーキをかけます。とはいえ、皆が持つ「心の病」。
アドラー心理学ではこの劣等感を否定しません。劣等感は人間の努力や成長を促す「エネルギー源」になるからです。しかし彼は「正しい劣等感と誤った劣等感」があると定義しています。
アドラーは、理想の自分になるために、まだ不足している部分があるという解釈は「正しい劣等感」だといいます。
しかし、他人と比較して、自分が劣っていると解釈することは「間違った劣等感」だと戒めます。そして、それを言い訳に努力や成長を止めている行為を「コンプレックス」と定義しています。
後者に当てはまる人は、自分を他人と比較するという思考癖を変えることが大事です。
ではどう解釈すれば、他者との比較によって起こる「誤った劣等感」から解放されるのでしょうか?
3.他者は競争相手ではなく「仲間」である
あなたが他者=競争相手と解釈し続けるかぎり、この「誤りの劣等感」がもたらす対人関係の悩みから永遠に解放されることはありません。
アドラー心理学では他者=仲間と解釈することを提言しています。競争相手ではなく仲間だと見方を変えるだけで、この世は「自分にとって安心できる世界」に変わります。
4. 嫌われる勇気こそ人に好かれる極意である
アドラーは、他人の評価による「承認欲求」を基準に生きるのではなく、理想の人生を実現するために何をすべきかを基準に考えて生きることを推奨しています。
しかし、人間にとって本能として承認欲求はあるので、この欲求が満たされないと苦しいのも事実です。
そこでアドラーは、自分の価値を実感するためにまず「自分は世の中に貢献している」という実感を持てと言います。アドラーは、これを実感するために仕事、ボランティア、趣味、子育てなどの「他者貢献」を持って生きよと言っています。
アドラーのいう、人間にとっての自己実現とは「他者に貢献できる自分になること」ということです。これを行うことで、結果的に承認欲求が満たされ、人間の欲求の中で最も上位である「自己実現」も達成します。
ただ、ここでも「承認欲求」を意識しないことが非常に重要になっていきます。アドラーは全ての人間関係を上下をつけず、他人を常に対等でフラットに見ることを全ての人に勧めるべきだと言います。
そうすることで、純粋に他者貢献や自己実現に突き進むことができます。
次はアービンジャー インスティチュート著の
「自分の小さな箱から脱出する方法」のまとめについて紹介します!
カーネギーから学ぶ!世界的名著「人を動かす」方法とは
人を非難し、傷つけることは無益
相手が自分の思い通りに動いてくれなかったときや、間違ったことをしたとき、相手を悪く言ってその行動や考え方を改善するようさとしたことはありませんか。
「人を動かす」の著者カーネギーは、「人の気持ちを傷つけることで人間を変えることは絶対にできず、まったく無益である」と断言しています。
「人を動かす」には、いったい何が書かれているのか。中でも個人的に大事だなと感じた3大原則を紹介します。
人は決して自分が悪いとは思いたがらない
「凶悪犯でさえ自分が悪いとは思っていないのに、普通の人を非難して自分の考えが誤っていることを認めさせ、考えを変えさせることなどできない」
これは本の冒頭で主張されています。
たとえば金庫破りをした者、ピストルの引き金を引いて人を殺めた者でも、自分のやった悪事に対して理屈をつけて自身を正当化し、刑務所に入れられててもなお、そんな自分は周りから不当な扱いを受けている可哀想な人だと思いといいます。
人はたとえ自分がどんなに間違っていても、決して自分が悪いとは思いたがらない生き物なのです。
「人を動かす」ためには、相手を非難するよりも相手を理解しようと努めることが重要だとカーネギーはいいます。
人を動かすたった一つの秘訣とは
自分や周りから見て明らかに間違った行動をとっている人や、自分の意図や周りの考えと反する行動をとる人を、自分が思いどおりに動かすにはどうすればよいのか。
カーネギーの主張は至ってシンプルです。
人を動かすための唯一の方法は、「自ら動きたくなる気持ちを起こさせる」こと。そのためには「相手のほしがっているものを与える」ことである。
人がほしがっているものというのは、シンプルに言うと「自己の重要感」なのです。
具体的に言うと、自分が人から重要人物であるとする認められた感覚、に近いでしょう。
違った考え方を持つ人を説得して、何かをさせようと思うのなら、どうすれば相手がそうしたくなる気持ちになれるのか?を考えることが重要なのです。
つまりは相手の立場に立って、自分目線ではなく相手目線に立って説得方法を考えることが近道です。
人を褒められないのは自分のことしか考えていないから
「こんなやつ褒められるところなどこれっぽちもない!」と心のどこかで思いながら褒めても、そんな安っぽいお世辞では相手から喜ばれることはありません。
なぜ人を褒めることができないのかというと、我々人間はいつだって自分のことで頭がいっぱいだからです。
自分の好きなものには興味をもちますが、それ以外の人や事象にはあまり関心を持っていないことが実は多いのです。
だからこそ、人の長所に気づけず、逆に自分の考えと反することを短所として決めつけ、「褒めるところがない」という言葉で相手を片付けてしまいます。
人の長所がわかれば、無理にお世辞を言わなくてもいいように済むし、相手が何らかのミスを犯したときでさえ、短所を詰めるのではなく長所に気づくことができます。
たとえばこんな話があります。
アメリカの富豪・ロックフェラーは、共同出資者の男が買いつけの失敗をして会社に100万ドルの損害を与えた際、一切の小言を言うことなく、「素晴らしい。あれだけ回収できたのは大手柄だ」と褒め称えました。
その男が損失の回収のために最善を尽くしたことを知っていて、すでに事は終わってしまっています。そこで彼を非難することはまったくの無益だと考え、逆にほめることで彼自身の自己重要感を満たしたのです。
ロックフェラーのようなことは状況によってはなかなか簡単にできるようなことはではありませんが、
ストレスフルな現代社会だからこそ、多くの人が心に留めておくべき逸話ではないでしょうか。
次は 「嫌われる勇気」 について紹介します★